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Archive for 2010年12月

ジャミーア・ネルソンから見るPGの条件 – その2

Posted by placeinsuns : 2010/12/24



さてさて続きですよ。アプリが落ちてビックリしましたよ、全部消えちゃったかと思って。ちゃんと残ってましたよ、保存した所まで。大分前だったんだよ、保存したの。ふぅ。

ネルソンに足りないもの、それは④プレーを作る、ないしフリーの選手にアシストを出す適格な判断力、だと思うのです。

少なくともダラス戦を見る限り、彼の判断力のなさは顕著でした。Back-to-Backの2戦目、しかも大幅な戦力入れ替えの直後にこのような判定をするのは少し酷かもしれませんが…それにしても、です。もしBSのビデオをまだ持っていれば、よーく注意…しなくても分かりますが、もう一度見返してみてください。この日はハワードのピックから中へ切り込んでレイアップ、という形が上手くいっていたというのもありますが、彼がプレーを作るときは大体ハワードがまずピックをかけます。ここからが問題で、ペネトレイトできればそのままレイアップで、一旦ペネトレイトが成功すると、シューターが多いこともあってダラスはヘルプに行けず、簡単にレイアップを決めています。ですが、ペネトレイトに失敗すると彼はそこでポイントガードとしての仕事を終え、フリーになっていないどころかマークがきっちりついているJ-Rich(稀にレディック)にパスして1オン1を求めます。このタイプのプレーはほとんど上手くいかず、大概ただボールがもう一度PGに意味もなく戻ってくるか、無茶なシュートを撃って失敗するかの二択です。

サンズファンのバイアスが相当量入った分析ですが、だからこそJ-Richは絶不調だったのではないか、と思うわけです。彼の1オン1は、少なくともサンズにおいては昨日の試合ほど多くはありません。困ったときはヒルの方が多いですし。この日終盤に決めたスリーも全てパスを受けたものです(因みに、バンガンディHCとしては恐らくですが、デショーン・スティーブンンの所を狙う、という意図もあったのかもしれません)。

勿論、これがまだコンビを組んで2試合目なので、こんな所で判断するのは時期尚早にも程がある、というのは至極真っ当な反論だと思うのですが、カーターとのコンビのときも、ショットクロックが15秒以上残っている段階から1オン1、という状況は多かったように思うのです。このあたり日頃からマジックを応援していらっしゃる方からぜひ聞きたいところですので、コメント欄にでもTwitter(@PlaceInSuns)にでも是非お願いします。

極論ですが、オープンでない選手にボールを渡して、その選手がボールをPGに戻した場合、それはショットクロックの無駄使いです。それだけならまだしも、相手にパススティールする機会をパスが行って帰ってくる分2回、更にPGである自分よりハンドリングの悪い選手にボールを持たせている時間分、相手にスティールする隙を与えていることになります。そして、もしパスを戻さずに、さほど1オン1に秀でていない選手が無茶なシュートを撃って外した場合、ポゼッションの無駄使いでターンオーバーも同じです。フリーの選手に渡さない、或いはそのパスを起点としてフリーを作れないようなパスをするくらいなら、チーム内で最もボールをキープできる自分がずーっと持っているほうがよほどマシです。少なくともターンオーバーのリスクは相当下がりますから。ちなみに、パスをもらった選手がプレーを作るのも、その選手がプレーメーカーとしてPGよりも優秀でなければ、ポゼッションが無駄に終わるリスクを高めていることになります。

この点、ターコルー、或いはマブスのキッドはしっかりしており、きちんとフリーを作るまではボールを持っています。加えてキッドの場合、ノビツキーに投げればプレーを作れるのでインサイドに渡すこともありますが、これも選択肢のひとつでしょう。結果としてボールが、ターンオーバーのリスクを減らすため、或いは新たなプレーを作ってもらうためにPGに戻ってきたとしても、一度はシュートに行っても良いようなアシストにつながるパス、或いはそのパスを起点としてディフェンスを崩せるようなプレーを作るパスなど、とにかく渡してもそこからどうにもならないような「無駄なパス」が圧倒的に少ないのです。この点が、ネルソンと彼らの決定的な違いだ、と少なくとも私は思います。

そして、いままで全く触れませんでしたが、彼は6フッター、183cmしか身長がありません。これはパスを通すにあたっても、相手のPGをディフェンスするにあたっても、チームにとってかなり大きな負担です。これを乗り越えてなお彼はチームに必要とされているほどの実力を持っているわけですが、これも手伝って彼はいつまでも「優秀なガード」という称号を得られないのです。あれほどのシュート力があるのにも関わらず。

なので、高さがないというハンディキャップを乗り越えてなお彼が優秀な選手と呼ばれるようになるには、プレーメーカーとしての能力か、圧倒的なアシスト力を身につけて「優秀なポイントガード」になるしか選択肢がありません。そして、インサイドにハワードがいる以上、彼の目指すべきところはアシスト能力ではなく、適切なプレーをその都度選べる判断力でしょう。今や数少なくなってしまった「アウトサイドシュートの上手いPG」として、私はネルソンに少なからず期待しています。彼の類稀な才能が埋れてしまいませんように。

あ、でもサンズにはお手柔らかにね。

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ジャミーア・ネルソンから見るPGの条件 – その1

Posted by placeinsuns : 2010/12/24



久々のクセにネタはサンズじゃねぇし…とお考えの方、ちゃんと話は繋げる予定ですので今回の所はご容赦を。色々実験中なので、レイアウトがおかしいとか、フォントサイズが狂ってるとか、改行が変だとか、お前の頭イカれてるとかありましたらコメント欄に。個別の案件に対応できるよう、しっかり努力します。しっかり。

BSでマブス@マジックを見ていて思ったことをつらつらと書きます。べ、別に元サンズの選手が多いから見たわけじゃないんだからねっ!マジックの試合はあまり見ないので、ほとんど知ったかぶりの恐れあり。プレーについても勉強不足なので根本的におかしいかも。実は、その2だけを見れば言いたいことは足ります。その1要りません。駄文注意、長文危険、異論反論大歓迎。

突然ですが、良いPGの条件とは何でしょうか。NBAを見ていると、ナッシュはもちろんのこと…ペネトレイトで圧倒するポール、ロンド、パーカー、アウトサイドからも狙えるパワータイプのデロン、キッド、プレーメーカーとしてチーム全体を指揮するのを優先するビラップスなどなど…評価やタイプの分け方は人それぞれでしょうが、実に多種多様です。ですが、彼らにはある程度共通する要素があります。これを賛否両論あるマジックのPG、ジャミーア・ネルソンに当てはめながら見ていきます。

当たり前ですが、まず①ハンドリング力があること。ボールハンドリングが上手くないと、プレーを指揮するどころではありません。ハーフコートに到達する前に相手のガードにスティールされるようではお話になりませんし、そんなことでは時間が残り少ない時に安心してボールを任せることができる選手がいなくなってしまい、本来シュートを撃ちたいSGやSFが自由に動けなくなります(正確に言えばSGかSFがポイントガードなりポイントフォワードなりの役目を果たすことになります)。この点、ネルソンはハンドリング力を持っているので問題なし。ペネトレイトした時にボールを失う、という場面は殆どありませんでした。

そして②パスの能力が高いこと、が必要になります。もちろんロンドやポール、ナッシュのようにアシスト能力が高い選手もいれば、ビラップスやパーカーのようにアシスト数で見れば並の選手もいますが、ここで求められているのは「シューターに撃ちやすいパスを出したり、インサイドにアリウープパスを投げる」アシスト能力のことではなく、「スティールされずに適格な選手にボールを渡すことができる」最も基本的なパス能力のことです。これも当たり前ですが、ハンドリングに比べて実力にはかなりばらつきがある項目で、ここで大体下位のチームのPGは振り分けられていきます。もちろんこれには、「パス相手とちゃんとコミュニケーションがとれる」ということも含まれていて(よく実況が使うNot on the same pageというのは、主にコミュニケーション不足を指しています)、外国人PGはこの部分で苦労するコトもしばしばです。ネルソン、これも問題なし。パスをスティールされてターンオーバーというシーンはあまり多くはありません。あのサイズではむしろ上手い方でしょう。

そして③何か強力な武器を持っていること。これはPGに限らずどのポジションにも必要なことですが、特にPGには「何か一つ秀でたもの」が求められることが多く、ここで優秀なスターターPGと堅実なロールプレイヤーPGが分かれます。ナッシュならあの独特のステップとほとんど異常なシュート力、ポールやロンドならスピード、キッドやデロンならパワーといったように。ネルソンの場合、スピードはもちろんのこと、シュート力が十二分に武器たりえます。スポットアップでスリーを撃てないのが少々難点ですが、ハワードへのダブルチームを前提としたチーム作りなのでほぼ問題なし。

ここまで、ネルソンに足りていないものはありません。ハンドリング力はピックからレイアップを何本も決められますし、相手にパスが通らない、ということもありません。武器もあります。ただ、それでも彼に無いものがひとつあります。

続きます。

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